今月の1冊(19)

東京オリンピック開催もあと1ヶ月程度に迫りましたね。今回のオリンピック・メインスタジアムには多くの木材が使われているとか。ということで今回は建築資材としての木材の魅力についての図書をご紹介します。といっても、専門書ではどうかと思うので、昭和最後の宮大工と言われた西岡常一棟梁と木材工学の専門家である小原二郎博士が共同で書かれた「法隆寺を支えた木」(初版1978年6月、改訂版2019年6月、NHK books)をお勧めします。なお、著者の西岡氏は1995年に、小原氏は2016年に他界しておりますので、改訂は現在までの研究成果については触れず、編集部では読み易くしたそうです。

さて、本書では第一章で西岡氏が宮大工としての経験から木の魅力・不思議さについて思いを語り、第二章以降では小原博士が専門家の立場から西岡氏の思いを科学的に解説する構成となっています。特に第二章は木の構造上の強さを科学者としての立場からの解説となっており、世界最古の木造建築物「法隆寺」や建築資材としての木に関心のある方にはじっくりと読んでほしいと思います。他方、この第二章以外は実用上の内容となっており、読みやすいかと思います。また、本書のもう一つの魅力は、日本人と日本文化を木という天然素材という切口から捉え、西洋文化と比較している視点です。

第二章は少々難易度が高いのですが、そこが消化不良?になっても間違いなく木を考える上での良書。初版から40年余を経てますが、内容はまだまだ新鮮です。一読をお勧めします。

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