西田の種々雑多(2)

第2回

本の紹介

常勝軍団のプリンシパル

著者:岩出雅之 (2018年、日経BP)

岩出さんという著者は、ラグビーに関心のある人なら大学ラグビー9連覇の偉業を成し遂げた、帝京大学ラグビー部元監督として知っていると思います。私が岩出さんに注目したのは、学生が毎年入れ替わる大学ラグビーというカテゴリーで、何故9連覇ということが可能だったのか、そこには組織運営の仕方にからくりがあるのでは?と思ったからでした。

連覇を続けていくうちにマスコミにも注目され、いろいろなインタビュー記事もありますが、岩出さんご自身の著作は、この「常勝軍団のプリンシパル」しかありません。この本を読んで思うのは、ラグビーという組織スポーツを通じて、この子たち(学生たち)に幸せになってほしい、というビジョンを岩出さんが強く持ち続け、過去紆余曲折を経ながらも、組織運営として結実させた結果が9連覇だったのだ、ということです。この本を読まれる方は、「そうじゃない」という感想を持たれる処もあるかも知れません。それでも、組織リーダーの評価は、結果が全てです。今年のラグビーワールドカップ日本代表にも、帝京大OBが7名(堀江、姫野、流ほか)選出され、我々見るものを楽しませ、興奮させてくれました。

結果を残した組織運営とはどういうものか、は本書を読んでそれぞれに「これが本質だ!」と見極めされればよいでしょう。最新の経営学理論を実践したような効果の現れ方に唸ってしまう面白さです。