西田の種々雑多(3)

第3回
中国の不動産業はどうなる?

今年の締めくくりに、国際情勢の話題を考えると碌な話がない。年末に暗い話はしたくないのだが、この先経済がどうなるのか予測するためには、致し方ないこともある。

中国の不動産業に怪しさが漂いだしたのは、今に始まった話ではないが、水面下で債務整理に動いていたものが、ついに表に出てきてニュースになりだした。象徴的には、大手の一角融創集団が米国破産法第15条を申請した、というものだろう。その他、恒大集団、碧桂園など、続々経営悪化のニュースが流れている。
これから、融資平台といわれる地方政府のノンバンクも含めて過剰融資と不良債権の山を延々処理していくターンに入るのだろう。

日本の場合、バブル潰しの総量規制が1990年に行政指導として実施されてから、大方の不良債権処理が終わったのは、2004年なので実に14年の歳月が費やされた。中国では、どのような経路を辿ってどのくらいの年月をかけて処理していくのか、気になるところである。ただ、世界経済にどのくらい影響を及ぼすかは、ほぼ中国の国内問題なので直接の投資者以外には軽微なものと考えられる。

私は、日本の不良債権処理の期間中であった1997年に日本の某銀行シンガポール支店に在籍、支店閉鎖に伴う債権売却に携わった。この時は、本部主導で外銀、証券等集まった買い手に、支店の持つ非日系法人の債権リストを渡し、値付けしてもらうことに。

内心では、プライベートな貸出債権なんて買ってくれるのかしらん、と思っていたが、意外にもまとめて結構な価格で買ってくれる外銀が現れ売却に成功した。その後、次から次へ日本の銀行は海外の債権を売却して日本に帰ったので、価格は下がっていったかも、と思っている。

自分自身は、日本に帰国して転職、今度は外資ファンドに債務を買われてしまった、ある中小企業の依頼で逆に債務を買い戻す交渉に携わった。「ハゲタカ」というテレビドラマを見た方も居られるだろう。あの小さいバージョンだった。中国では、膨大な不良債権処理をどのようなスケールでやるのかわからないが、これからが本番なのだと思う。