コンサルとしての一言(12)

このスレッドも22年9月以来のご無沙汰でした。まず、今回の写真は北海道美瑛町の青池。このシーズンの北海道はまさに天国ですね。食に観光にと出かけてみられては如何でしょうか?

さて、今回のテーマは「新聞見出しと記事」。この数日、新聞の第1面の見出しを見て驚き、その記事を読んで、「それは誇大表示、詐欺?」と思った記事が大手経済新聞に2件。見出しのインパクトと記事内容の乖離があまりにも大きいので、就職以来44年間購読したこの新聞の購読を止めることにしました。

まず驚いた見出しは「ロッテ、年収最大300万円上乗せ 中堅・管理職対象(7月2日朝刊)」。この記事によると、その上乗せ対象者を「毎年数名を選ぶ」とありました。ロッテの従業員数は2,500名程度、グループでは7,500名ほどとか。ロッテさんがどうだという気持ちは全くありませんし、記事は間違ってもいませんが、この数字を前提にこの見出しはどうでしょうか?また、この人数をもって第一面に掲載する記事でしょうか?

次に、「〈社長100人アンケート〉人手不足、8割超が実感 来春賃上げ4%台最多 IT人材・女性足りず(7月3日朝刊)」。この記事はその後に「既に4割が来春の賃金改定を考えており、そのうち6割が3%以上引き上げる意向を示した。」とあります。その少しあとに「アンケートは国内主要企業の社長(会長などを含む)」とありました。少なくとも我々中小企業の「社長のアンケート結果」はないですね。これは「国内トップ企業100人のアンケート結果」です。そう見出しに明記するのが新聞社として「誠実さ」ではないかと思いましたが、どうでしょうか。

昔々10代の頃、京都大学名誉教授だった桑原武夫先生の講演をうかがったとき、「メディアは危機に瀕すると過激化する」とお聞きした覚えがあります。まさにこれが今の日本の新聞業界の現実なのかなと感じました。そこで今回のコンサルタントの一言は「発信元が大新聞社だって情報を鵜呑みにしない。情報はしっかり最後まで読む。」です。特に若い方々はネットの影響からか見出しだけを読むことも多いとか、見出しのミスリードが懸念されます。

ちなみに最近『論語』(全訳註 加地伸行、講談社学術文庫、2004年3月)を漢文用の辞典を片手に毎日5~6ページずつ「白文、読み下し文、現代語訳、注」の順で読んでいますが、白文と読み下し文を比べるだけでも面白いし、さらに「注」に基づき時代の違いに思いをはせると、孔子のことばが生き生きとしてきます。「何事も原点を大切に!」ですね。