今回の写真は木場親水公園に居ついているアオサギ(?)。当社のスタッフが一時真剣に置物と思ったというほど動きません。東京の自然も楽しくなっていますね。
さて、今回はコロナウイルスを起点として発生した中国人観光客の大幅減少による観光事業の大きな打撃について考えてみたいと思います。
ここでこのようなことを話し出すといわゆる「遅出しじゃんけん」のようで気が引けるのですが、結論から言えば想定可能なリスクの見事なまでの顕在化ですね。即ち、特定の条件変化によって大きく左右されるセクターに売上を集中させたことが問題であり、コロナウイルスはその引き金を引いただけというべきでしょう。
銀行を引き合いに出して恐縮ですが、貸付業務においてもっとも重視すべきなのがポートフォリオマネジメント、もっと簡単に言えばリスク分散であり、今回の件は中国からの観光客に経営重点を置いた企業はそれだけ大きな影響を受けたと言えます。
優良銀行であったはずのスルガ銀行が不正手続きに基づく不動産融資により家電大手のノジマに経営支援を仰ぐことになりました。これも不正手続きに焦点が当たっていますが、根本は投資不動産への融資比率の過度の集中が本質論だと思います。たとえ手続きに不正が多々あっても総量の比率が低ければここまでも経営の悪化は避けえたでしょう。また、ポートフォリオの分散が進んでいれば、特殊なノウハウを持たない地方銀行が突出して好業績になるはずはなく、これを褒め上げた行政側の見る目のなさも明らかですね。
では、観光事業はどうしておけば良かったのか? 第1は顧客に占める特定エリア顧客上限ウエイトを定めること。第2には団体客と個人客のバランスを考えること。さらに言えばその施設の醸し出したい雰囲気を維持するためのレストラン等でのテーブルアレンジメントなどを行い絶対的顧客である邦人リピート客確保への努力でしょう。
業界での競争は確かに厳しく、目の前の売上を最優先したいとの気持ちは痛いほどわかります。よく言われる「選択と集中」も必要ですが、「選択の中での分散」がリスクマネジメントでは重要です。独断ですが、如何でしょうか?