コンサルとしての一言(6)

今回の写真は奈良の円成寺。この平安時代に創建された古寺には運慶の処女作と言われる国宝大日如来坐像が祀られております。ご本尊の阿弥陀如来坐像の穏やかなお姿、お庭も美しく、落ち着いたひとときを過ごしに一度訪れてはいかがでしょうか。受付にいらっしゃる住職の身内(だと思われる)の女性が優しく応対してくれますよ。

さて、コロナ感染は第三波となり営業で出歩くのもなかなか不自由な状態です。そこで今回も営業系の話を「コンサルとしての一言」に選んでみました。

具体的には「営業力のある話術は知識のすそ野と構成力」をテーマにしたいと思います。
取引の構造は基礎に「営業担当者への信頼」、その上に「案件の魅力」があります。しかし、名の通った企業に勤務している、または普段取引関係の安定している案件を担当している方が新規取引案件を担当する場合、取引の根底にある信頼関係構築をおろそかにし、案件の魅力で営業をするケースが起きがちです。勤務先が信頼にたる企業であり、さらに提案している案件が競合先に比べて十分に魅力的なのに話が進展しないとき、そのときは厳しい話ですがあなたは(営業担当者)は信頼されていますか?と自問してみてはいかがでしょうか。

私の経験で恐縮ですが、コンサルとして信頼をされ、新規案件が成約となった時のカギは、案件自体のプレゼンより案件に付随する知見と、そのときに提供した情報の高い整理度が評価されたことが多かったと思います。例としては中国事業からの撤退案件を提案していたときに決め手になったのは、中国撤退スキーム・人脈は勿論ですが、それに加えて撤退に伴う損失の日本国内税務上の処理方法や必要となる証憑の入手方法などでした。現在のアルミ建材の仕事で例えればアルミの説明をアルミ以外の金属との比較で説明すると理解が深まります。このような案件を肉付けする情報や知識を疎かにしていると信頼感を得ることはできません。

第2は専門用語を多用するのではなく、使う言葉を整理し、相手に理解してもらいやすい言葉に置き換えて説明することが大切です。専門用語や難しそうな言葉の羅列はいかにもプロ的に見えますが、相手側では情報の消化不良を引き起こし、不信感を呼び起こします。専門用語に逃げずに、相手の立場・業界知識を理解したうえで相手に通じる言葉で説明することが信頼に結びつきます。即ち、簡単な言葉で難しい内容を説明できてこそ知識です。

目の前の業務知識アップは言うまでもありませんが、それを伝えるための周辺の知識や使う言葉の内容の整理力こそが新規営業の前提かと思いますが、如何でしょうか?